2026/06/19
動かせない山と分かったら——相続した山林を「持ち続ける」判断を、不安なく下すために
相続した山林を一筆ずつ調べていくと、どうしても「今は動かせない」と分かる山が出てきます。接道がない、境界が確定できない、奥にあって使い道が見えない。C1-3でお伝えしたABC三分類でいう「C類型」です。
このとき多くの方が二つの極端に振れます。焦って何が何でも処分しようとするか、もう考えたくないと納付書だけ払い続けて放置するか。八ヶ岳西麓(茅野市・原村・富士見町)で二十年以上ご相談を受けてきた立場から言えば、どちらも急がなくていい。動かせない山にも、いくつもの道があります。
〔H2〕動かせない山は、本当に「無価値」なのか?
いいえ。「今・あなたが・単独で」動かせないだけで、無価値ではありません。
山林の価値は三つの条件で変わります。ひとつめは「時間」。今は使い道のない山も、隣接地が動いたり林道計画が入ったり、周辺が農ある暮らしの受け皿として見直されれば、数年で状況が変わります。八ヶ岳西麓は今、標高900〜1500m帯が涼しさと希少性で再評価されている局面です。
ふたつめは「組み合わせ」。単独では動かない山も、隣の畑や宅地とセットにすると動くことがあります。みっつめは「買い手の目線」。他社で値がつかないと言われた山でも、自社買取の目線では価値が出るケースがあります。原村で三十年間境界不明だった山を測量士と協力して突き止め、当社で買い取った例もあります。
「動かせない」は「永遠に無価値」とは違う。この前提を持つことが、不安なく判断を下す出発点です。
〔H2〕持ち続けるなら——税負担と管理責任を正しく知る
当面持ち続けると決めたなら、二つを把握します。
「固定資産税」は、山林の場合は宅地に比べてごく小さく、年間数千円〜数万円に収まることが大半です。税が怖くて急いで手放す必要は、多くの場合ありません。まずはご自分の納付書で実額を確認してください。
「管理責任」は、倒木や土砂崩れが下流や隣地に被害を与えた場合、原則として所有者にあります。ただし人や建物に近接していない奥山なら、現実的なリスクは限定的です。**負うべき責任の重さは「どこにある、どんな山か」で変わります。**ここを一度、専門家と見極めておくと安心です。
冬の話も加えます。八ヶ岳西麓では十二月から三月、雪と凍結で山の現地作業はほぼ止まります。境界確認や測量は雪が解けた春から秋が現実的。「冬は動けない」前提で年間の段取りを組むのが地元のやり方です。
〔H2〕手放したいなら——「処分」にも複数の道がある
「自分の代で整理したい」なら、手放す道も複数あります。
隣接地所有者への打診。 奥の山でも、隣の方には「境界を整えたい」「まとめて持ちたい」事情があることがあります。当事者同士では言い出しにくい話を、間に入ってお手伝いできます。
相続土地国庫帰属制度の検討。 二〇二三年に始まった、いらない土地を国に引き取ってもらう制度です。ただし隣地と境界をめぐる争いがないこと、建物や工作物がないことなどの要件審査があり、原則として負担金(山林は面積に応じた算定)も必要です。「申請すれば必ず通る」制度ではないので、要件を満たすかの事前確認が要ります。
自社買取・他社買取への引き継ぎ準備。 当社で買い取れる山もあります。買い取れない場合も、境界の暫定整理や必要な行政手続きを当社が内側で進め、鑑定士の評価を添えて「他社が買い取れる状態」に整えられます。
どの道でも共通するのは「判断材料を揃えてから動く」という順序です。
〔H2〕「持っていて構わない」と腹を決める選択
最後に、あえて書いておきます。「無理に動かさず、持っていて構わないと腹を決める」のも、立派な判断です。
これは投げやりな放置とは違います。税の実額を把握し、管理責任の範囲を見極めたうえで、「この山は当面このまま持っておく」と能動的に決める。動かないものを無理に動かそうとして、かえって費用や時間を失う例を数多く見てきました。動かないものは動かないと認めて、その上で何ができるかを考える。
数年後に隣地が動くかもしれない。林道が通るかもしれない。お子さんの代で使い道が出るかもしれない。山は、待てる資産です。
〔H2〕八ヶ岳ライフでお手伝いできること
私どもは、不動産鑑定士と宅地建物取引士の両資格を持つ代表が、茅野市・原村・富士見町に特化して、相続山林の現状把握から買取・引き継ぎ準備までを一貫してお手伝いしています。
「動かせない」と言われた山ほど、まずは現状を一緒に確認するところから。手放すべきか持ち続けるべきか、その判断材料を揃えるお手伝いを、現地に一緒に立つところから始められます。
ご相談はお問い合わせフォームから、または現地確認のご希望もお気軽にお寄せください。


