2026/06/16
相続した山林が5筆・10筆——売れる山と動かない山を仕分ける「三つの分類」

親から相続した山林が、1筆だけということはむしろ少数派です。納税通知書を確認してみたら5筆、登記を調べたら10筆以上——八ヶ岳西麓の相続相談では、そういうケースが定型です。
前回の記事では、その一筆一筆の「場所を突き止める」手順をご紹介しました。今回はその次の段階の話です。場所が分かった後、それらの山をどう扱うか。結論を先に言えば、全部をまとめて「山林」とひとくくりにしないことが出発点になります。
相続した複数の山林は、まとめて売れますか?
まとめては売れません。一筆ずつ性格が違うため、仕分けてから動かすのが現実的です。
同じ「山林」という地目でも、集落のすぐ裏にある山と、林道の奥でだれも入らなくなった山とでは、まったく別の不動産です。当社で複数筆の相続相談を受けるときは、一筆ずつ現地と書類を確認した上で、おおむね次の三つに分類します。
A. お金に変えられるもの
集落の隣にある山、手入れが続いていて機能している山林、公道に接している土地。こうした筆は買取や売却の対象になります。当社では自社買取で引き受けることもありますし、状態によっては他の買取業者へ引き継げる形に整えることもあります。
B. 条件を整えれば動かせるもの
接道はあるが境界が曖昧、隣接所有者との立会いが必要、書類が不足している——手間をかければ動く筆です。境界確定や現況測量を経て、Aに移行していきます。
C. すぐには動かないもの
接道のない山、境界がどうしても確定できない土地、奥にあって使い道の見えない山林。ここを正直にお伝えするのが、私たちの仕事だと考えています。
ただし「動かない=打つ手なし」ではありません。2023年から始まった相続土地国庫帰属制度の活用検討(引き取りには要件の審査と負担金があるため、使える場面は限られますが、選択肢の一つです)、隣接地所有者への打診(隣の方なら使い道があることは珍しくありません)、数年単位での時機待ち、そして「持っていて構わない」と腹を決める判断。動かないものは動かないと認めた上で何ができるかを考えるほうが、無理に動かそうとして消耗するよりずっと現実的です。
「全部C」と言われた山が、動いた実例
原村で、30年間だれも現地を訪れておらず、境界も不明という相続山林のご相談を受けたことがあります。他社では「値段がつかない」と言われた案件です。当社で測量士さんと協力して場所を突き止め、最終的に自社で買い取りました。売主さんの言葉は「そもそも分からないものを買ってもらって助かった」。
逆のパターンもあります。茅野市豊平や原村上里、富士見町の原屋の茶屋のように、集落と畑が機能している地域では、山林が畑や住宅とセットになることで動き出すことがあります。単体では値段がつきにくい山が、組み合わせ次第でAに変わる——これは一筆ずつ現地を見ないと判断できません。
仕分けの前に、書類だけで判断しないでください
図面上は同じ「山林」でも、現地に立つと、隣の集落の方が下草を刈ってくれていた山もあれば、沢が崩れて近づけない山もあります。AかCかは、机の上では決まりません。冬は雪と凍結で現地確認そのものができない時期があるため、現地調査は雪解け後から初冬までが基本です。県外にお住まいの方は、この季節の制約も頭に入れておいてください。
担当・朝倉の所見:複数筆の仕分けで一番大きな手がかりは、実は書類ではなく、地元の方の記憶です。区の役員さんや隣接地の方に現地でお話を伺うと、「あの山は○○さんの代まで炭を焼いていた」といった情報が出てきて、境界や利用履歴が一気につながることがあります。20年この地域で仕事をしてきて、最後に頼りになるのはこの土地の人のつながりだと感じています。だからこそ、地域の方とは対等に、丁寧に関わることを大切にしています。
まずは「全体像の一覧表」を作るところから
相続した山林が複数ある方は、いきなり「売れますか」と考える前に、一筆ごとの所在・面積・接道・状態を一覧にするところから始めてみてください。当社では、その一覧づくり——場所の特定から現地確認、三つの分類まで——を含めてご相談を承っています。
「決めてから来ていただく」必要はありません。決めるための材料を一緒に整える段階から、どうぞお気軽にご相談ください。
八ヶ岳ライフ株式会社(茅野市本町西5-23/TEL 0266-72-5880)


