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2026/05/12

慌てて売らない、慌てて放棄しない——相続山林の現状把握

「親から山を相続したけれど、どこにあるのか分からない」
「登記簿はあるけれど、現地を見たことがない」
「兄弟で名義は分けたが、誰も管理していない」

八ヶ岳西麓(茅野市・原村・富士見町)で山林の相談を受けていると、こうした話が一番多いです。山林は宅地と違って「住所」で探しにくく、現地に行っても境界が分からない。固定資産税の納付書だけが毎年届く——そんな状態のまま10年、20年と経過しているケースは珍しくありません。親世代も実際には現地を見ておらず、祖父母の代から所有していて誰がいつ取得したか不明、というのもよくある話です。これは怠慢でも何でもなく、山林という資産の性質上、当然のことです。

慌てて売る、慌てて伐採する、慌てて相続放棄する——どれも判断材料が揃ってからで遅くありません。この記事では、相続した山林の現状把握として最初にやる3つのことを、八ヶ岳西麓の実務に即して整理します。

①登記簿と公図を取り寄せる

まず手元の情報を集めます。固定資産税の納付書(毎年4〜5月頃に市町村から届く書類)に、所有している土地の地番一覧が載っています。

その地番をもとに、

・登記事項証明書(法務局またはオンライン申請)
・公図(同じく法務局)
・固定資産税課税明細書(市町村役場)

の3点を揃えます。費用は1筆あたり数百円程度。茅野市・原村・富士見町であれば、諏訪地方法務局(諏訪市)またはオンライン(登記情報提供サービス)で取得できます。

ここで分かるのは「地番・地目(山林か原野か保安林か)・面積・所有者・抵当権の有無」です。「山林だと思っていたら原野だった」「保安林に指定されていて勝手に伐採できない」というケースも実際にあります。地目は必ず確認してください。

②地番を地図に落とす

次に、地番を地図上の位置に変換します。これが山林では一番つまずくところです。

使える方法は3つ:

・法務局の地図情報サービス(オンライン、無料閲覧)で公図と地番図を照合する
・市町村の固定資産税課で「地番図」を確認する(窓口対応、自治体により有料)
・国土地理院の地図や全国地価マップで大まかな位置を把握する

茅野市・原村・富士見町はいずれも山林の比率が高く、地番図の整備状況も自治体ごとに違います。「どうしても位置が特定できない」場合は、現地に詳しい不動産会社や土地家屋調査士に相談するのが確実です。私どもも、地番から位置を割り出すご相談を受けています。

③一度、現地に立つ

地図上で位置がつかめたら、必ず一度は現地に立ってください。机上の情報だけでは見えないことが、現地には必ずあります。

鑑定士として山に入るとき、私はまず尾根筋と谷筋を読みます。次に隣接地の植生境界を見て、境界の手がかりにします。杉と広葉樹の境目、人工林と自然林の切れ目には、たいてい所有境界が走っています。最後に下方の沢と集落の位置関係から、水利の影響範囲を推定します。「この山が伐採されたら、下の田畑にどう響くか」を読むのは、山林を扱う上で外せない視点です。

ご自身で確認する場合は、

・接道:車で行けるか、林道経由か、徒歩のみか
・植生:杉・檜・赤松・広葉樹・笹薮、手入れの有無
・傾斜:平坦地か、急斜面か、谷筋か
・水:沢が流れているか、湿地か
・境界:杭・テープ・古い石の有無
・荒れ具合:倒木・崩落・不法投棄

を見てください。冬期の八ヶ岳西麓は地域ごとに状況が違います。茅野市の標高1000m帯は12月中旬から3月中旬まで凍結、林道は積雪閉鎖が多い。原村の高原帯は5月連休明けまで残雪が残ることがあり、富士見町は風が強く倒木確認は春先が確実です。動くなら5月〜11月、雪解け後で藪が立ち上がる前の5〜6月か、紅葉前の9〜10月が見やすい時期です。

一人で山に入るのが不安な場合は、地元の不動産会社や森林組合に同行を頼むこともできます。

現状把握で壁にぶつかったら

3つのことを進めると、たいてい何かしらの壁にぶつかります。

「公図と現況が大きくずれている」「境界が完全に分からない」「接道がない」「沢の水利関係が複雑」「財産区有林との共有」「相続登記が祖父の代で止まっている」——こうした問題が見えてきたとき、相続人ご自身で土地家屋調査士・司法書士・森林組合・市町村窓口を別々に手配するのは、時間も費用も相当かかります。

八ヶ岳ライフでは、境界不明・接道なし・財産区絡みといった、他社で仲介が難しい山林も自社買取の対象として検討しています。境界確定・伐採届・水利調整・農地転用といった行政手続きを自社内で完結できる体制があるため、相続人の方が複数の専門家を別々に探す必要がありません。鑑定士が現状把握の段階から関わることで、「売る・残す・放棄する」の判断材料も早く揃います。

地縁の中にある資産として

山林は単独で完結する資産ではありません。上流下流・隣地・水利・財産区——必ず誰かと繋がっています。だから所有者一人で勝手に決められないし、一方的に決められない構造そのものが、八ヶ岳西麓の山林をこれまで守ってきました。

区・財産区・水利組合との関わりを「面倒な義務」として捉えるか、「対等な隣人関係」として捉え直すかで、山林の価値の見え方は大きく変わります。私どもは後者の立場で、地域の関係を脅迫材料にしない、相続人の側にも地縁の側にも対等な関わり方を提案しています。

まとめ

相続山林の現状把握は、登記簿→地図→現地の順で淡々と進めれば必ず形になります。焦らず、順番に。判断は材料が揃ってからで十分です。

八ヶ岳ライフは八ヶ岳西麓に特化して山林の現状把握から買取まで対応しています。「どこにあるか分からない山」「誰も管理していない山」のご相談も、まずは現状把握のお手伝いから。現地に一緒に立つところから始められます。

ご相談はお問い合わせフォームから、または現地確認のご希望もお気軽にお寄せください。

この記事を書いた人

朝倉 宏典

朝倉 宏典

八ヶ岳ライフ株式会社 代表 /
不動産鑑定士

長野県茅野市出身。2012年に地元密着の不動産会社「八ヶ岳ライフ」を設立。不動産の適正価値を見極める国家資格「不動産鑑定士」を保有し、年間300件以上の相談実績を持つ。八ヶ岳エリア(茅野市・原村)の山林売却・買取に特化し、他社では取り扱いが難しい山林や放置物件の再生・買取も積極的に行う。「不動産から地域貢献」を掲げ、専門的知見と地元出身者ならではのネットワークを活かした透明性の高い取引を信条としている。Youtubeでは八ヶ岳の不動産(相続した空き家、土地、山林、畑、別荘)についての役立つ情報を発信中。

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